発表題目:OSSライセンス情報のニーズの構造 発表者: 杉本等○(静岡大学大学院客員教授、株式会社パドラック代表取締役) 藤本亮(静岡大学大学院法務研究科教授) 吉田行男(株式会社日立ソリューションズ技術開発本部オープンソース技術開発センター長) 細谷竜一(株式会社オージス総研グローバルビジネス推進部部長) 筒井敏人(株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ公共ビジネス本部第三システム部プロジェクト課長) 湯澤一比古(株式会社廣告社ぶれいん取締役) 増田芳憲(株式会社ゼンク代表取締役) 屋代和将(株式会社マインド取締役) 岡田直子(株式会社ネットワークコミュニケーションズ代表取締役) 山崎実(株式会社ビイガコーポレーション代表取締役) 発表要旨: ---------------------------------------- 本報告では、(社)オープンソースライセンス研究所主催の勉強会・セミ ナーで出された質問やセミナー中の議論の分析を通して、オープンソース ライセンスについての情報ニーズを明らかにする。オープンソースソフト ウェアについては一般的な関心は以前より高く、普及もしている。それゆ えにユーザ数も拡大し、開発現場でどのようにライセンスを考えるべきか、 具体的な対応はどうすべきかという実践的な課題に直面する機会も増えて いる。(社)オープンソースライセンス研究所では、2011年7月の設立以 降、地方会場も含めた16回のセミナー・勉強会を開催してきた。その中 で出された質問やコメントはまさしくユーザサイドから求められている情 報と考えられることができる。これらの質問やコメントの分析から、受講 生・参加者が必要としている「情報」には、その立場や当面の課題などに より(A)知的財産権全般の知識、(B)OSSライセンスの整理された知識、 (C)OSSライセンスの具体例(ケーススタディ)を通じての深い理解、(D) ビジネス戦略的な利用の可能性などであることが明らかとなった。まだま だ知的財産権の基礎的な知識が不足していてセミナーや勉強会の内容を十 分に理解できなかったという感想も少なくなく、(A)のように一般的な法 知識の提供も重要である。他方、開発現場・管理業務での具体的な判断に 直結するマニュアル的な情報を求める傾向もみられた。法的な問題につい ては見解が確定できない場合も多々ある。それゆえに(C)や(D)のように具 体的なケーススタディなどを踏まえた深い情報提供・意見交換が求められ ている。必要とされている情報はこのように多層的な構造になっているこ となどを踏まえた情報提供が重要である。 ----------------------------------------